開催趣旨
東京大学物性研究所では、理工系の研究分野で現在少数にとどまっている女性研究者のより一層の活躍及び割合増加をサポートするため、2021年度よりISSP Women’s weekというイベントを開催しております。今年度も11月末から12月上旬の期間をISSP Women’s week 2024とし、その期間内の2日間で「研究交流会」を開催します。この研究交流会では講演者の皆様にご自身の研究テーマ、男女共同参画、ダイバーシティ推進などにおける各大学・研究機関での取り組みをご紹介いただく予定です。
日時:2024年12月3日 (火)-12月4日(水)
開催場所:東京大学物性研究所6階大講義室 (形式:対面とZOOMのハイブリッド)
参加申し込み
こちらのweb formよりお申し込みください。
オンラインアクセスに関する情報は登録者のみに送らせていただきます。
臨時託児室の設置について
本研究交流会では講演者や参加者から希望があった場合は臨時託児室を設置する準備があります(*)。外部のイベント保育業者に委託する関係上、希望される方は「11/22(金)」までに上記のフォームから「臨時託児室の利用を希望する」にチェックを入れてお申し込み下さい。
詳しい内容については実行委員長 中島 (taro.nakajima_at_issp.u-tokyo.ac.jp)までご連絡ください。*他の物性研究所主催・共催の研究会等でも実施中です
学生主催パネルディスカッション
今年の研究交流会では学生がテーマ設定をして当日のファシリテーターとなるパネルディスカッションを行います。
柏キャンパスの学生・教職員の皆さん!みなさんが日頃男女共同参画やライフ・ワーク(ライフ・スタディ)バランスなどのキーワードに対して感じることや意見を、パネルディスカッションのテーマ候補として投稿してみませんか?学生実行委員会がその質問をピックアップして当日のパネルディスカッションで招待講演者のみなさんと議論をしていきたいと思います。
Examples:
・ジェンダーの観点で「もっとこう改善されたら生きやすくなるのに」と感じることを教えてください!
・ライフ・ワーク・バランスを保ちながら、研究者としてのキャリアを積むための工夫とかはありますか?
みなさんの意見・質問・テーマ案を、このフォームからお寄せください!
協賛
学術変革領域研究(A)「1000テスラ超強磁場による化学的カタストロフィー:非摂動磁場による化学結合の科学」
本イベントは株式会社キオクシア様からの「女子学生の理系進学・女性研究者支援プログラム」に対する寄付金から支援を受けております。
プログラム アブストラクトはこちら
2024年12月3日 (火) (12:30 開場)
13:00 廣井善二 所長 開催挨拶
13:05 中島多朗 実行委員長 趣旨説明
Session 1
13:10 小澤知己 先生 (東北大AIMR)
「研究者夫婦の生活:海外での経験をもとに」
13:40 小林柚子 先生 (理研・科学技術振興機構)
「電気化学界面におけるナノ計測の夢と、多様性のあるアカデミアへの希望」
14:10 小林夏野 先生(北大電子研)
「層の重なりと電子状態」
14:40 山本文子先生 (芝浦工大先進国際)
「RbNbO3に現れたBaTiO3の隠れた結晶相」
(15:10-15:30 休憩)
Session 2
15:30 学生主催セッション(パネルディスカッション&ポスターボードディスカッション)
17:30 1日目終了
2024年12月4日 (水) (9:30 開場)
Session 3
10:00 中島多朗 実行委員長 2日目の開始にあたり
10:05 Swati Chaudhary 先生 (東大物性研)
「Giant effective magnetic moment of chiral phonons」
(10:35-10:55 休憩)
Session 4
10:55 田中千加 先生、徳永千恵子 先生 (キオクシア(株))
「企業・キオクシアのキャリアパス事例・ワークライフバランスのための取り組み」
11:25 香取浩子 先生(東京農工大工学研究院)
「化学圧力や磁場による多形磁性体の相制御と磁性」
11:55 松田康弘 副所長 閉会にあたり
お問い合わせ
東京大学物性研究所 男女共同参画・ダイバーシティ推進委員会委員長
中島多朗(e-mail: taro.nakajima_at_issp.u-tokyo.ac.jp “_at_”を”@”に変えて送信してください)
アブストラクト
小澤知己 先生 (東北大AIMR)
「研究者夫婦の生活:海外での経験をもとに」
私は物理、特に物性理論の研究者です。日本で学部を卒業した後、渡米してアメリカで博士号を取りました。イタリアでの5年間のポスドクののち、帰国しました。妻は生命科学の研究者で、イタリアで第一子・帰国直後に第二子が生まれています。アメリカ・イタリアの家族観は日本とは大きく異なります。私がイタリアでポスドクをしている時にちょうどボスにも子供が生まれ、イタリア人の子育てを間近に見ることができたことが私のその後の研究生活のスタイルにも大きく影響しています。この講演では、留学から始まる海外生活について、そしてその後の日本での私たち研究者夫婦の子育てを含む生活についてお伝えしたいと思います。研究者だからといって私生活を投げ打って全てを研究に捧げる必要はなく、家族との時間を大事にしながら研究をすることは十分可能だしそれは普通のことです。私生活を犠牲にする必要などないというのは当たり前のことなのですが、意外と研究を志す若い方には伝わっておらず研究者を目指す際の壁になっているように感じることがあります。その壁を取り除く一助になれればと思っています。
小林柚子 先生 (理研・科学技術振興機構)
「電気化学界面におけるナノ計測の夢と、多様性のあるアカデミアへの希望」
多数のイオンや分子が躍動する電気化学界面では、真空中や大気中ではほとんど起こらない反応が比較的容易に進行します。私は、この複雑な界面で起こる電気化学反応を単分子レベルで解明したいという夢を持ち、民間企業を辞めて博士課程に進学し、現在ポスドク二年目に突入しました。本講演では、この夢を実現するためのプローブ顕微鏡計測についてお話するとともに、アカデミアにおける多様性について、自らの経験から日々考えていることを共有したいと思います。
小林夏野 先生(北大電子研)
「層の重なりと電子状態」
層状の構成要素を持つ物質は絶縁体から超伝導体まで様々な電子状態を示すことが知られている。遷移金属ダイカルコゲナイドを中心として積層ベクトルや積層要素が変化することによってどのように電子状態が変化するかを紹介する。
山本文子先生 (芝浦工大先進国際)
「RbNbO3に現れたBaTiO3の隠れた結晶相」
代表的なペロブスカイト型強誘電体であるBaTiO3は、室温において正方晶であるが、降温に伴い斜方相、菱面体晶が、また、昇温に伴い立方晶、六方晶が現れる。さらに、理論計算からは、負の圧力をかけると大きく歪んだ第二の正方晶が出現すると予想されている。最近、我々は高圧法を用いてペロブスカイト型強誘電体のRbNbO3を合成し、この斜方晶の相を昇温すると正方晶が現れた後、より高温で、大きく歪んだ第二の正方晶が出現することを発見した。この隠れた結晶相が出現したことはペロブスカイト型ABO3のBサイトがd電子を持たないイオンが占める際の共通した構造相転移スキームを示すものとして興味深い。講演では、高圧合成によって得られたRbNbO3周辺の多様な物質の合成と構造を紹介する。また、研究者を目指さず、何度も研究を辞めてしまいながら現状に至った自身のキャリアをご紹介しつつ、職場や学会、共同研究、社会活動で出会った方々とのつながりの大切さをお伝えできればと思います。
Swati Chaudhary 先生 (東大物性研)
「Giant effective magnetic moment of chiral phonons」
Circularly polarized lattice vibrations carry angular momentum and lead to magnetic responses in applied magnetic fields or when resonantly driven with ultrashort laser pulses. The phonons associated with such vibrations are known as chiral phonons. On the basis of purely circular ionic motion, these phonons are expected to carry a magnetic moment of the order of a few nuclear magnetons. However, some recent experiments have demonstrated a phonon magnetic moment of the order of a few Bohr magnetons. This kind of giant magnetic response points towards the electronic contribution to the magnetic moment of phonons. Many diverse mechanisms have been discovered for this enhanced magnetic response of chiral phonons. The orbital-lattice coupling is one such mechanism where low-energy electronic excitations on a magnetic ion hybridize with phonons and endow a large magnetic moment to phonons. In this talk, I’ll present a microscopic model for the effective magnetic moments of chiral phonons based on this mechanism. We apply our model to two types of materials: rare-earth halide paramagnets and transition-metal oxide magnets. In both cases, we find that chiral phonons can carry giant effective magnetic moments of the order of a Bohr magneton, orders of magnitude
larger than previous predictions.
田中千加 先生、徳永千恵子 先生 (キオクシア(株))
「企業・キオクシアのキャリアパス事例・ワークライフバランスのための取り組み」
拡大・多様化する市場のニーズに応えるためにも、キオクシアは、人材の多様性を推進しています。中でも、女性活躍は重要なテーマです。企業の事例として、当社の女性研究者の仕事やキャリアパスの事例をご紹介するとともに、従業員のワークライフバランスを充実するための取り組みについてもご紹介します。
参考)キオクシアグループ 人材多様性推進の取り組み
香取浩子 先生(東京農工大工学研究院)
「化学圧力や磁場による多形磁性体の相制御と磁性」
我々が見出した磁性を示す多形 AlxFe2-xGeO5 は化学圧力による相制御が可能であり、趙強磁場による相制御も期待できる。講演では、磁性を中心に本多形物質の性質を紹介する。また、現在までのワークライフバランスについても簡単に触れる。
ISSP Women’s Week 2024
実行委員長 中島多朗 (taro.nakajima_at_issp.u-tokyo.ac.jp)
実行委員 井手上敏也、川畑幸平、長谷川幸雄、松田巌、宮田敦彦、山浦淳一
学生実行委員 白井亜美、渡我部りさ、渡辺 凌眞、原 正彦、山岡良太